香川大学特別講演「ITフリーランスとしての海外活動」

Genkinz Ltd.のITフリーランス塩出慎吾氏をお招きし、講演会を行いました。塩出氏は元リクルートの出身です。

講演では、リクルートの仕事、フリーランスとは、海外で働くことという3つのテーマについて話されました。

リクルートの仕事

 塩出氏は、現在のリクルートのサービスである、じゃらんnetやHOT PEPPERの立ち上げに携わった方です。ネットビジネス黎明期において、リクルートは新人に仕事を任せ、徹底的に考えさせるという方針の下、塩出氏がコンピュータを持っていたからというただそれだけの理由で、ネットビジネスの留学を支援し、システム開発を任せたといいます。

 じゃらんnetは、ホテルの予約をまだ電話で取っていた2000年代初頭において、リアルタイムで空室状況が確認できるという画期的なシステムでした。当時のサーバは非常に高価であり、予算の実に75%をハードウェアが占めていました。しかしながら、満室であるにもかかわらずかかってくる予約の電話に困っていたホテル業界からは非常に歓迎されたといいます。

 あるときはホテル業界からのクレーム対応に奔走し、また個人情報を漏洩させた際、担当者に代わり現場の指揮を執るなど、深い話もいただきました。

フリーランスとは

 塩出氏は十数年つとめたリクルートを退職し、ニュージーランドで永住権を取得してフリーランスとして活動を始めました。在日邦人紙の編集長に始まり、ライターを経てウェブ構築エンジニアとして活動しました。

 ニュージーランドは、残業はせず、自身の生活を大切にするという風潮が一般的です。そのため、納期が遅れることもありますが、依頼側も請け側も一切気にしないそうです。生活においても、店の対応が日本とは全く異なり、かなり戸惑ったといいます。

 その後、友人の紹介でシンガポールへ渡り、シンガポール在留邦人向けのサイトや、現地人向けの日本牛肉、豚肉の販売サイトを構築しました。

 フリーランスはサラリーマンではないため、仕事がないと収入が途絶えます。プロジェクトの終了後、生活費もかさんできたこともあり帰国し、現在は日本らしい場所、ということで京都に住んでいます。

海外で働くこと

 塩出氏は、海外で働くことを「枠にとらわれない自由な生き方」と表現し、自由になるためには努力も必要だ、と。海外で働く、すなわち自由になるためには、たとえば独り立ちできるスキルが必要です。海外で働くなら生活力はもちろん、コミュニケーション能力も必要となります。塩出氏はリクルートの方針に倣い、3年間はがんばってほしい、それでだめなら、やり直しのきくうちに別チャレンジすべきだ、と締めました。